最近
『ホスピタルクラウン 病院に笑いを届ける道化師』を読みました。
「ホスピタルクラウン」って、みなさんご存知ですか?
病院を訪ねて闘病中の子どもたちを元気付ける道化師(クラウン)のことを言います。
ロビン・ウィリアムス主演の映画
『パッチ・アダムス』のモデルになった医師のパッチ・アダムスさんが有名です。
この本は
大棟耕介さんという道化師会社の社長さんのホスピタルクラウンとしての活動の様子が描かれた本です。
文章は短く読みやすいのですが、とても気づきの多い内容で一杯です。
また子どもたちの楽しそうな写真も満載です。
内容の一部を紹介させてもらいます。
病室を訪ねる時は入り口でモタモタして、わざとドアにはさまれたり、引いて開くドアをわざと押して「いてて」と呻いたりします。
そうすると、子どもたちの方から「何してんのー?」とか「そのドア引くんだよ」と教えてくれ、そのことに感謝しながら、おそるおそる病室に入っていくそうです。
こんな感じで、何でも子どもたちに教えてもらうようにしています。
それは、普段は子どもは病院の中でもっとも立場が弱く、毎日こうしなさい、こうしたらダメって、怒られたり、命令されてばかりいます。
その立場を逆転させてあげると子どもはみるみる目を輝かせてくれるから。
マジックをするときも力を貸してとお願いして、子どもたちがやったように見せかけたり、わざとタネがばれるようにして、指摘してもらったりする。
そんなやりとりをしているうちにじっと息を潜めていた子どもたちが呼吸をしはじめるのが分かる瞬間が一番うれしいとのこと。
子どもたちと遊んだ後に、その子のお母さんがよく「自分の子がこんなに笑うってこと、忘れていた」というそうです。
それは
クラウンが子どもを笑わせるプロだからでなく、本当の理由は、
ひさしぶりにお母さんが笑っている姿を見てうれしいからだと思うとのこと。
病院にいるお母さんは看病などで心身ともに疲れていて、そんな状態を子どもが敏感に感じ取ってしまいます。
そのせいで母子ともにふさぎこんでしまっていることが多いそうです。
他にもいっぱい気づかされることの多いお話が満載です。
闘病中の子どもとのコミュニケーションというだけでなく、普通の日常生活の中でのコミュニケーションの取りかたについても参考になるのではないかと思います。
とても素晴らしいお仕事で楽しそうですが、その裏では病院という特殊な事情の中で行なうので、様々な苦労があります。
そのあたりのこともよく分かります。
あっという間に読めてしまう本ですので、本屋さんで立ち読みでもいいので、ぜひ一度手にとって読んで欲しい本です。